【ディズニー映画「ウィッシュ」 ネタバレ感想】願いは希望?それとも呪い?
ディズニー100周年記念映画「ウィッシュ」鑑賞してまいりました…!
何の前知識も入れずに行ってきた、一回きりの鑑賞のため
思ったことに対して完全に間違っている可能性はありますがつらつらと書いていこうと思います。
(ネタバレ注意!)
あらすじ…の前に
同時上映の短編「ワンス・アポン・ア・スタジオ -100年の思い出-」
まずここでぐっと心を持っていかれました。
ディズニーを幼少期に通ったことがある私としては
ああ!あのキャラが!あのキャラも!?このキャラと一緒に!?
なんて夢のコラボのオンパレード、アベンジャーズを見ている気持でした。
(ヘラクレス大好き人間なのでハデスが出たことに心でガッツポーズしました)
そして、ウォルトの写真を見ながら敬意を表するミッキー
「ありがとう。」
この言葉で悔しいですが涙がぽろりと落ちそうになりました。
「僕はショーを続けるよ。」
何かとポリコレ意識しすぎだ、なんだと最近賛否両論のあるディズニーですが
ぜひとも昔と同様に頑張ってほしいと思える短編。最高でした。
(吹き替えでみたんですけど、山寺宏一さんやっぱり貢献度高い…)
あらすじ
ロサス王国では、民が王に願いを捧げ、いつか願いが叶うと信じて暮らしていた。
ある日、アーシャは、王が民の願いを閉じこめて支配していることを知ってしまう。
みんなの願いを取り戻すために、アーシャは空から降りてきた願い星“スター”と、王に立ち向かう。
―映画ナタリーより引用*1
あらすじとのギャップ
前情報を入れる前に見たもので、映画を見た後にこのあらすじを見たのですが
なんだかちょっと印象が違いました(吹き替えだからかな?)
「王が民の願いを閉じこめて支配していることを知ってしまう」
特にこの部分です。
一番最初に主人公アーシャがロサスとはどういう国かを歌で説明してくれます。
「♪ようこそ!ここはロサス~」
みたいなところですね。
歌で説明される内容は
ロサスには一流のものが勢ぞろいしていてどうやら国はかなり発展しているらしいこと
そして民は国王に願いをささげると、月に1度選ばれたものがその願いをかなえられる
そんな魔法を開発したのがこの国の王様「マグニフィコ王」ですよ~~と
願いをかなえる魔法!?チートじゃん!っていう感じですよね。
何か副作用があるんじゃないか?!と説明された新規入国者が言うわけですが
それに関しても民たちにはきちんと知らされている様子。
「何を願ったか忘れる」
つまり、民は願いを王に渡すとその願いが何だったかというのをわからないまま、まぁいつかかなえてくれるでしょ!ってことで平和に暮らしている、というような状態です。
さて、そんな中
どうやらマグニフィコ王は後継者を探そうとしているらしい、ということがわかります。
魔法使いとして弟子をとろうとしているようですね。
それに女王「アマヤ」の推薦(?)で選ばれたアーシャは、マグニフィコと謁見します。
アーシャは自分の父が小さい頃に亡くなったことを話すと、マグニフィコも自分が魔法の力を手に入れる前に国を焼かれ自分も幼いころに両親を失ったと話します。
どうやら境遇が一緒であるということで打ち解けたよう、マグニフィコは誰にも見せたことがないというみんなの願いの玉が集まった部屋へアーシャを通します。
そこでアーシャは今年100歳になる祖父「サビーノ」の夢を見つけます。
サビーノの夢は音楽で若者にエネルギーを与えたい。
アーシャはこの夢を今度のセレモニーでかなえてほしいとマグニフィコに頼みますが、
マグニフィコはその夢を見た後申し訳ないが…といって断ります。
この夢は危険だ。と。具体的ではない。ふわふわしている。
エネルギーとはどういうエネルギーだ?負のエネルギーかもしれない。
アーシャは祖父はそんなことする人じゃない!と反論しますが
まぁマグニフィコ的にはそんなことわからないので、いや無理ですとつっぱねます。
じゃあかなえられない夢ならば、みんなに返してあげたらいいじゃないとアーシャはマグニフィコに進言しますが、
かなわない夢を返したら本人が苦しむ可能性があるからここで大事に保管しているんだ。とマグニフィコは自論を呈します。
さてここまでの一連の流れ、マグニフィコ王の思いもわかりますし、アーシャの気持ちもわかります。いわば正義同士のぶつかり合いな気がします。
かなわない願いは苦しいし、かわいそうだから…保管しておいた方が平和に暮らせるじゃないかというマグニフィコ
かなわないかどうかは王様が決めることじゃないから返してあげた方がいいに決まってる!というアーシャ
己の信念が違う者同士がぶつかってしまった、とそれだけだと思うのですが…
「王が民の願いを閉じこめて支配していることを知ってしまう」
何だか違和感です。
何も無理に、民から願いをよこせー!と奪い取っているわけでもありませんし、
王様には王様の考えがあって、民たちのことを思い大事に「保管」しているわけです。
しかも奪われるのは18歳になったもの=大人とみなされたものだけ。
つまり自分で判断できる年齢まで待ってくれるわけですから…
願いをささげた民たちは願いを忘れることも了承したうえで、
かなわない夢を持ち続ける苦しみに耐えきれないから「預けて」いる
そんなに悪いことしているか?というのが第一印象です。
国民が全員他人頼り
さてここからスターの登場です。
「♪この願い~」っていう歌ですね。あれを夜空に向かって歌い上げるアーシャ。
アーシャが星に願いをささげると、星が文字通り降ってきます。
どうやらこのスター
王様とは違い、願いを「叶える」力はないものの
願いを「気づかせ」たり、願いを叶える「勇気」をくれたり、っていうような生物なようです。
これはおそらく「ディズニー映画」のことをさしているんだろうなぁと個人的には思いました。
スターが生物に触れると人間でいうと心臓の部分がキラキラと輝きます。
人間本来が持っている「願いの力」のようです。
そしてスターはもう願いを王様に捧げてしまったアーシャの友達に触れると悲しい顔をします。しかも胸が光らない。
これは王様に願いをとられてしまったからだ、というわけですね。
せめて祖父の願いは返したい、とアーシャは王様の部屋に忍び込むことにします。
(友人に王様できるだけ引き止めといて!と無茶ぶりをして)
アーシャが忍び込む間、マグニフィコ王は昨日スターが降ってきた際に放っていた光が気になり、国民に何でもいいから情報を集めてほしいといいます。
日頃夢をかなえるお仕事をしているのだから、見返りとして協力してくれぇっていう感じですね。
マグニフィコ的には過去国を焼かれたトラウマもあるようですし、反乱分子であるのなら早めに対処したいということでしょう。
さて、時間を稼がなければいけない友人。国王に質問します。
「情報ってなんでもいいんですか?信憑性とか…見ただけとか…聞いただけとか…」
その疑問に国民たちがそれぞれ意見を言い出し、騒ぎ始めます。
裏切り者を見つけたいなら、月1でやっている願いをささげる儀式を増やしたらいいんじゃないか?
その言葉に王様は驚いた後、
願いを自分でかなえる気はないのか?と聞く
国民たちはうんうんとうなずくばかり。
マグニフィコはため息をついて、裏切り者を見つけたら願いを叶えてやると言って去ります。
これがその礼だと!?
さて謁見を終えたマグニフィコ
癇癪を起します。
このシーンめっちゃわかるぅー!!となりました。
自分は二度と同じ悲劇を見たくないから努力して努力して、いろんな魔法書を読み漁って今の「願いをかなえる」魔法を手に入れた。
そして最初は善意で民たちの願いを叶えていた。
ただ、国を発展させたり、国を守ったりするには叶える願いと叶えない願いを選別する必要がある。
一人で国をひっぱり、国民からの期待にも応え、そして発展したロサス王国
出来上がった国民は願いを叶えてくれるからまぁ努力しなくていいでしょ!っていう国民性の民達……(まぁ願いを差し出すと忘れるから努力しようがないっていうのはありますが…じゃあささげなきゃいいわけですしね。)
自分を慕ってくれていると思ったら、願いを叶えてくれるなら何でもいいと言わんばかりのあの態度…
何だか仕事を思い出してしまいました……。
善意で伝えた提案を「じゃあ気づいたんなら君がやってよ」と自分の責任範囲外の仕事を押し付けられた時のあの気持ち。
ありがとうの言葉もなく、ただ自分の仕事が増えたというだけのあの時の感覚…
もうしらねぇえ!!!っていう感じですよね。
マグニフィコに関してはおそらく数十年はこの国を守るためにいろいろしていたでしょうから、より失望も大きかったことでしょう。
そしてマグニフィコは禁断の書に手を出します。
どうやらこの禁断の書一度手を出すと、「魔法に飲み込まれる」とのことで、本人の人格もゆがんじゃうっぽい説明がされます。
マグニフィコはそこから人が変わったように、願いを平気でパリンパリンわっちゃいます。なんならアーシャの前でお母さんの夢もバリンと割っちゃいます。(わお!本当に人格変わってない!?)
落ちがひどすぎる
願いを割られると胸にぽっかり穴が開いたような悲しみを抱くようです。
(相当苦しそう)
アーシャは謝りながらも、このままではすべての願いが王様によって利用されてしまうと思い、願いをすべての国民に返そうと画策します。
王様はというと、「スター」の力を逆に手に入れるため、国民の願いを犠牲に杖を作ります。
なんやかんやあって、願いが国民に戻るのですが、
その際に王様は逆に魔法にのまれ、杖の中に閉じ込められてしまいます。(杖の先端にある鏡?の中ですね。)
私としては、まぁ願いを割ってしまって犠牲になってしまった人もいるし、杖の中に閉じ込められて二度と出てこれないとかも仕方ないのかなぁと自分を納得させようとしていましたが
お母さんに願いが戻るシーンがあるんですよね。どうやら割られた願いも戻るよう。
そしてそんな中…
マグニフィコの声が小さな鏡の中から聞こえます。
そしてマグニフィコ王は妻アマヤにすまないここから出してくれないか、というのです。
マグニフィコ王の様子を見ていればわかりますが結構妻のこと大事にしているんですよね。
結局禁断の書に手を出してはしまいましたが、一度は妻の忠告を聞いて禁断の書を棚に戻しますし、
禁断の書に手を出した後もルンルンで妻にこんなことするんやでぇ~って伝えてますし…
ただ、アマヤとしては願いを犠牲になんてしちゃだめだよってことでアーシャ側についたわけですね。ここまではわかる。
そして…問題のシーン。一番私が納得がいかないところです。
鏡に閉じ込められたマグニフィコに対し、アマヤが言います。
「自分のことが好きなんでしょ?よかったじゃない。地下牢に入れておいて」
ええ!?
どういうこと!?
罰が重すぎない!?
泣きそうになりました。ひどいじゃないか。
確かにマグニフィコは何人もの願いを犠牲にし、最終的には洗脳なんかもやってましたが、アーシャのおかげでそれらはすべて元に戻りました。
じゃあマグニフィコが全部悪いの?っていうとそうではない。
手段は間違えてしまいましたが、マグニフィコは国を守りたかっただけです。
しかも最初は善意で願いを叶えていた魔法使いです。
そこに人々が俺も私もと集まってきてできた国がロサス。
この国を発展させたのもマグニフィコ王です。
まるでその国を乗っ取る形でアマヤとアーシャが君臨します。
アーシャはまだ子供。おそらく実権を握るのはアマヤでしょう。
アマヤの人物像があまり掘り下げられないがゆえに、ええ!?あんたなにもこの国に貢献してないやん!?という突っ込みが捨てきれません。
偉大な魔法使いについてきた、そして願いが選別されていることも知っていた
同罪人のはずなのに、まさかの寄りそうでもなく突き放して地下牢に夫をぶち込む…こわすぎる。
たとえばこれが、マグニフィコは実は最低な男で願いを叶えていたのは実際アマヤでした、という設定になっているとか
マグニフィコは表ではいい男だがとんでもないDV男で暴力でアマヤを支配していた設定があるとかなら理解はできますが、
見ている限りは愛妻家にみえますし…。
だったら、
「あなたとはいっぱい話さなくてはならないわね。」といって鏡と一緒に去るとか
最後落ち込んでいる王にアマヤが近づいてもう一度やり直しましょう。なんて言って改心した王様は杖から解放されて終わるとか…いろいろあったでしょうに…と思います。
(途中で王様が「真実の愛」なんてない!といいながら願いを割るシーンがあるんですが…まさしく真実の愛なんてなかった…)
マグニフィコ王への掘り下げやキャラクターの魅力が高く何とも言えない気持ちになってしまいました。
音楽と声優は最高
しかし悪いところばかりじゃないです。
音楽はさすがディズニー映画、最高です。
耳に残るフレーズ、帰りに思わず口ずさんでしまう覚えやすいメロディライン
サントラ買うか悩みました。
そして声優さん。
吹き替え版で見たのですが、アーシャの声をやっている生田さん、すっごいうまい!しかいえないくらい活発ででも芯のある声。
福山雅治さんも今回声優・ミュージカル初挑戦とのことでしたが
無礼者たちへ!を聞いてみてほしいです。「おう?!福山こんな歌い方できるの?」と私は驚きました。
音楽最高、声優最高、
しかしストーリーが100周年なのに大団円で終わらない悲しさ…がすごかったです…
願いは希望か呪いか
さて、
「願い」は呪いなのか希望なのか。
両側面あるんだろうなと思いました。
かなわない、って思って決めつけているのは自分や他人が勝手にだったりします。
大抵の場合、自分で勝手に願いを何かしら理由をつけて、叶わない呪いに変えてしまっているのです。
「この年じゃもう…」
「非現実的すぎるしダメだ…」
「時間がないし…」
「力がないし…」
いったんやってみてからいいなさい!っていうメッセージ性はなんとなく伝わりました。
やったものだけが、星に願いをかけていいんです、っていうような感じですかね。
神頼みにするのは自分の願いに努力をしたやつらだけでいい!
まずはやってみることが大事!
願いを願いとして持ち続けるのは結構体力がいりますね…
ロサス王国があったらきっと私は一生このままでいいや~タイプなので王様の怒りを買ってしまうかもしれません。
本作を教訓に自分の願いを今一度考えてみようかしら…
今回はここまで…!
本年最後の更新になるかと思います。
思い付きで始めたブログですが、なかなか文章を書くの面白いですね。難しいですが。
読んでくれた皆様ありがとうございました。
来年も気まぐれに書いていこうと思います。よろしくお願いします